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CRTのスタートにあたり 2003年8月23日 山口県精神保健福祉協会 会長 渡辺義文 (山口大学医学部高次神経科学講座教授) |
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大阪池田小事件から2年余が経過しました。多くの子どもたちが心に深い傷を負った事件としてこの出来事を忘れることはできません。一方で子どもが加害者となる事件も目に付くこの頃です。未来を担う子どもたちの心を守るために、大人である私たち、特に精神保健の専門職は何ができるのだろうか。そう問い続けてきた2年間でした。 まず、山口県精神保健福祉協会総会が開催されました2003年8月23日、「山口県クライシスレスポンスチーム(CRT)」が正式にスタートしましたことをご報告申し上げます。企画がスタートしてすでに2年経ちました。一昨年の大阪池田小事件の翌日に開かれた運営委員会でこの企画が提案され、昨年夏の第1回ハートワープ研修会、今年2月のハートフォーラム、3月の情報センター立ち上げ、行政や教育委員会との協議を経て、本日、第2回ハートワープ研修会においてスタートにこぎつけました。 山口県精神保健福祉協会は、2001年4月に山口県アディクション研究会会員を「専門会員」として受け入れ、「静的組織」から「動的組織」へ、「受動的構え」から「能動的構え」への質的変換を行い、実態を持った組織へと衣替えをいたしました。その成果の1つが、協会が地域社会に対して直接サービスを行うCRTプロジェクトです。私共専門職のネットワーク化はある程度できましたので、次はそのフットワークを生かして行動する段階となったのです。専門職おひとりおひとりに「いよいよあなたの出番です」とお招きしたところ、30名の専門会員が予備登録し、うち10名が正式登録を済ませ、本年5月以降いつでも現地に出動できる体制をとることができました。 「地域社会の安全は自分たちで守る」という会員の皆様の熱意と一体感に支えられて、山口県のCRTはスタートすることができました。全国的にもユニークな取り組みです。「心の世紀」と言われる21世紀に、山口県から日本全体に新たなメッセージが発信できることを切に希望しております。 最後になりましたが、CRTの発足に際し、行政・教育委員会関係者の皆様には多大なご支援をいただき、熱く御礼申し上げます。今後ともご支援をよろしくお願いいたします。 |